開票立会人というものをやってみた。
0.開票立会人とは
そもそも開票立会人ってなに?と思うじゃないですか。
わたしはたまたま友人が以前衆院選の比例の立会人をやって、手記を書いたのを読んでました。なので存在は知ってましたが、誰がどう申し込むかまでは知らなかったのでした。
今回の参議院選挙で、東京選挙区に立候補した「なかむら之菊」さんのお手伝いをした関係で、「誰かやってみたい人いる?」と声がかかったので、興味深々で手を上げました。
開票立会人は、その選挙区の選挙人名簿に登録がある人が、候補者の選任によって行うもので、1開票所あたり3名~10名で行う。選挙区と比例区とそれぞれ。
私は「なかむら之菊」さんの選任で、新宿区の開票所の選挙区ということで申し込みを行った。
開票立会人届出書というものを書いて、新宿選挙管理委員会に届け出ました。
開票立会人届出書の様式がこちら
・投票日の3日前(木曜日)の17時まで届け出る
・締め切った結果、10名を超えた場合はくじ引き
・立会人の決定が電話でくる
・立会人決定通知書がレターパックで送られてくる
・(新宿区の場合)金曜日に説明会
1.説明会
金曜日に説明会ということで、会場に向かう。18時からなので正面から入れずにちょっとあたふたした。
資料が渡される。大きく2種類
1.開票立会人事務要領
要するに開票立会人がなにをするか、また開票作業の主な段取りについて記載されたもの
2.投票の効力判定に関する判断基準の例示
有効・無効になる投票の記載例、および今回の候補者の場合で按分になるケースの例など
この2種類目の判断基準が実に興味深い。基本的には「できるだけ救ってあげよう」という精神が基本だが、「みわけがつく」ことが大事。あと「余計なことは書いちゃダメ」●とか×とか💛とかだめね。
2.当日(1)-開始前まで
所定の時刻(20:20)に開票所の立会人控室に集合。担当者の案内により開票所に移動するのだが、不正を疑われないように
・バッグは持って入らない。(控室に置いておく)
・携帯/スマホは持ってもいいが、操作する場合は会場から出ること
・飲み物も書類も会場には持ち込まない。適宜休憩を控室でとってよいので、控室で水分は補給してくださいとのこと。(ポットとコーヒー類はあるとのことだが、暑いから熱いのは・・・持ち込んだペットボトルを使った。)
・確認でたくさんハンコ押す。その「チェックしました」ハンコはシャチハタでよいということで、日当受領用はシャチハタではなく認印ということなので、ハンコ2種持ち込み。
3.当日(2)-最初の速報が出るまで
場所はコズミックセンター2Fの大体育室。立会人はステージ上から。さらに観覧者は3Fから見学可能。
大勢のスタッフが持ち場につき、投票箱があつまり紐と鍵は外した状態。まだ明けてない状態。20:45から開票開始ということで、時報が流れる中、20:45に開票管理者(選挙管理委員会委員長)の開票の号令で開票が始まる。
このあとの手順は、以下の通り。フロアでスタッフがやっているのを見たらこんな感じというもの。
1.投票箱の中身を空ける
まず、投票箱を開けて中身を机の上に広げる。そして投票箱が空になったことを確認させるために、担当者は空になった投票箱が空になったことがわかるように、開票立会人のほうと見学者のいるほうにむける。頭上にあげてくる。たいへんそう。正直すべての投票箱が空であることを自分が視認できたかというと違うけど、立会人だけでなく観覧席にも向けている(おそらく観覧席のほうが見やすい)から、ごまかしはなさそう。
最初各投票所からの票を「まぜる」と説明されたとき、「傾向と対策のために混ぜないでってわけにいかないのか?」と思ったのだが、「ウチの集落は〇〇さんに入れろ!」みたいな話があったりすると、そこの集落で別の票があったとかヤバイので、やはり秘密投票を守るために混ぜるのだと理解した。秘密投票を守るためにできることはやっているのだ。
2.イチゴケースみたいなプラケースに票の向きを揃えていれる
読み取り機にかけるため、票の向きをそろえる
点字投票などはよりわけて担当に引き継ぐ
3.読み取り機にかける
読み取り機でおおよそわける。機械で処理できないものは人手で分類する。
疑問票などはここでその担当に渡される
4.読み取り機でわけられたものを、人が確認する
例えば「朝日けんたろう」とわけたものが置かれる台があり、その台では「朝日けんたろう」かどうかを人がチェックしている模様。
5.枚数カウント機にかけて、100枚束を作る
枚数カウント機にかけ、100枚束を作る。カウント装置は落下式と銀行式の2種類両方で計測する。
6.100枚束をチェックしながら500枚束を作る
100枚束をパラパラして混じっていないか確認し、同じ候補者の100枚束を5つ集めて500枚束にする
作成された500枚束を受け取り、500枚束としてパラパラチェックをして、ほかのものが混じっていないかチェックする
7.500枚束を集計部隊に引き渡し、得票数としてカウントする
8.速報のタイミングで、集計部隊に引き渡された500枚束が開票立会人の目の前の机に置かれる。立会人はそれを自由に手に取って確認してよい。(任意チェックなので確認しなくてもよい。)ただし束を分解してはいけない。(混票事故を防ぐため)
9.速報数字を確認してシャチハタ押す
1回目の速報は、1-5の手間があるので、500束はまだ少ししかできていない。
山添、竹谷、朝日、蓮舫、いくいなの5名分それぞれ1束のみだった。
4.当日(3)ー90%越えまで
読み取り機の処理は終わるので、束を作っていく作業になっていく。
おおまかな分類~読み取り機あたりの作業をしていた人は作業おわりで帰っていく。
30分おきに速報がでるが、500束がおおくなってくる
このあたりは速報時間以外はまぁ休憩を取りやすい。
5.当日(4)ー立会人のお仕事
立会人の必須確認業務が出てくる
1.点字投票の確認
点字投票は、点字を解読してくれる人が書いた紙が一緒についてきて、人ごとに分けられてまわってくる。特に問題なさそうならハンコ押す。点字読めないから解読者を信じることにはなるんだけどね。ヘレンケラー協会とかに依頼して、開票所に来てもらうらしい。
解読できて有効だったものと、無効分にわかれてくる。無効分は「なし」とか打たれたものや、東京都選出の用紙に政党名を打たれたものなどがある
2.疑問票として扱われて、結果有効票として扱われたもの
疑問票という扱いになり、選挙管理委員会の判断の結果有効票として扱われるものについて、これは投票用紙を確認してその判断に対してハンコを押すことになる。
例えば「蓮肪」とか「いくない晃子」とか誤字系
3.無効票
無効票と扱われたものについて、確認してハンコを押す。
無効票にもさまざまな種類がある。
候補者名以外の何かを書いたもの。
そもそも候補者名ですらない、他事を記載したもの
私以外の立会人で、無効票から「これは●●さんでは?」と救済できそうなのを見つけ、検討結果救済されたものがあったよう。そのときその無効の束を丸ごと再チェックしていた。
基本的には「極力救済する」なので、立候補者の組み合わせにもよるが、誤字脱字系は結構救済される。「余分なものを書いた」は救済されない。
4.按分票
「名字だけ」「名前だけ」などの記載の票で、同じ苗字だったり同じ名前だったりする候補者が複数いる場合、按分となる。
今回は「なかむら之菊」「中村高志」となかむらが2名いるので「なかむら/中村」のみの記載はこの2名での按分となる。
ほかに「セッタケンジ」「河野けんじ」がいるので「けんじ」票が按分。
5.白票
白票の束も確認対象
6.500枚未満の束
500束は任意確認だったけど、500未満は必ず確認として開票立会人は確認してハンコがいる。500未満は当然だが最後になって出てくるので、この最後のハンコ押しがたいへん。
6.当日(5)-おしまい
それまでに上がってきた票は、ステージ上人ごとに分けて積み上げられていた。(観覧席からわかりやすいように)この票を箱詰めして封印する。段ボールにつめ、ガムテをし、さらに白い幅広のテープで巻いて、テープのかさなったところに立会人が割り印を押す。これが最後のお仕事。
そして最終結果が印刷される
あとは日当をもらって受領印を押して、帰ります。(日当受け取るほうが割り印よりは先だったけどね。)
日当は額面14,000円、手取り13,828円。拘束時間が20:20~2:30ぐらいだったかな。6時間ぐらい。深夜割増あり(笑)。